2017年12月22日(金)

「陸王」で行田活況 陸王十万石まんじゅうなど注文殺到、観光館の来場5倍 経済効果「のぼうの城」以上か

人気の「陸王たび煎餅」を手にする戸塚煎餅店店主の戸塚昌利さん(右)と妻の世知子さん=行田市行田
「観光情報館ぶらっと♪ぎょうだ」で販売している陸王の関連商品。いずれも好調で、館全体の売り上げは大幅に伸びている=行田市忍2丁目

 行田市を舞台に老舗足袋業者の奮闘を描くTBSドラマ「陸王」が地元を活気づかせている。陸王関連の地元商品は10種類以上に上り、回を重ねるごとに売り上げが上昇。行田の観光・物産施設の来館者数は放映前の5倍に増えた。

 行田の忍城をテーマに2012年11月公開の映画「のぼうの城」による県内全体の経済波及効果は約40億円と試算されたが、ロケ地が北海道中心だったのぼうの城に比べ、陸王は行田市が中心。

 見慣れた街並みとともに多数の市民がエキストラで出演しており、地元関係者は「経済効果は想像以上ではないか。良い流れを今後につなげたい」と、24日のドラマ最終回を前に意気込んでいる。

 ドラマは池井戸潤さんの小説「陸王」が原作で、老舗の足袋業者「こはぜ屋」が会社の存続を懸けてランニングシューズの開発に挑む物語。市によると、市内の6社が陸王の公式商品を手掛けている。

■注文殺到

 戸塚煎(せん)餅(べい)店は「陸王たび煎餅」(8袋入り税別千円ほか)を発売。足袋型の煎餅が6種類入った商品で、こはぜ屋のマーク入り。回が進むにつれて注文が殺到し、TBSストア赤坂店(東京都港区)では一番人気の商品となっている。

 店主の戸塚昌利さん(48)は「今まで付き合いのなかった企業からも注文をいただけるようになった。良い流れを東京五輪までつなげたい」と意欲的。妻の世知子さん(44)は「地域活性化の一助となればうれしい」と語る。

 市内に本店を置き、県内外で38店舗を展開する十万石ふくさやは「陸王 十万石まんじゅう」(5個入り税別575円ほか)を発売。当初、日曜限定販売だったが、注文が多いため11月から全店で毎日販売するようになった。

 そのほか、横田酒造が陸王ラベルの本醸造酒を発売。武蔵野ユニフォームは陸王のネクタイなど、北埼ダンボール工業はキーチェーン、コスモプリンツは名刺ケースやマグカップを販売している。

■足袋も好調

 伝統の足袋販売も好調だ。「創作足袋 千代の松」の代表戸塚節男さん(81)は「遠方からもお客さんが来てくれるようになり、毎日が楽しい。最盛期は市内に200社近くあった足袋業者も今は数えるほどだが、まさに“復活の狼煙(のろし)”といった感じ」。

 妻で埼玉県伝統工芸士の喜久代さん(81)も「行田足袋の良さが見直されているのはうれしい」と笑顔を並べた。

 行田市商工センター1階の「観光情報館ぶらっと♪ぎょうだ」の来館者数は放映前は月平均千人程度だったが、11月から約5千人に。のぼうの城公開時のピーク(約4千人)を上回る盛況ぶりだ。

 館内で販売する陸王関連商品の販売も好調で、館全体の売り上げは10、11月のわずか2カ月で昨年1年間を上回った。マネージャーの長谷川龍さん(41)は「いかにもう一度、行田に来てもらえるかが大事」と先を見据える。

■市民も“共演”

 ぶぎん地域経済研究所は、のぼうの城の経済波及効果を約40億円と試算したが、市内の小売店などからは「実感として、のぼうの城を上回る」との声も上がる。

 陸王は行田を中心に撮影が行われ、水上公園や忍城址など現在の街並みが登場し、市民を中心に延べ約4万人がエキストラで“共演”している。

 足袋という行田の「伝統産業」に地元の「場所」と「人」が加わり、市民にとっても身近な番組に。番組は最高視聴率17・5%を記録するなど、近年のドラマとしては高い視聴率を維持しているという。

 行田市は今年4月、文化庁から「和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田」として県内初の「日本遺産」に認定された。工藤正司市長は「陸王の効果で、観光やエキストラとして本市を訪れる方が増えている。このチャンスをまちの活性化につなげたい」としている。

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