2017年9月7日(木)

長年の夢、NBAのチアリーダーに合格 深谷から人生懸け渡米「支えてくれた人たちに恩返しを」

ジムでトレーニングに励む寺田智美さん=8月、米テキサス州サンアントニオ(本人提供)
オーディションに合格したメンバーと記念撮影する寺田さん(右端)=7月(本人提供)

 米国のプロバスケットボール協会(NBA)のチアリーダーに挑戦していた深谷市の寺田智美さん(28)が7月、強豪「サンアントニオ・スパーズ」のダンスチーム「シルバーダンサーズ」の試験に合格した。昨年はかなわなかった就労ビザも今回は取得に成功、同チームでは初となる日本人チアリーダーの誕生だ。

 「長年の夢であったNBAのダンサーになれて本当にうれしい。支えてくれた人たちに恩返しできるよう、自分のパフォーマンスを磨きたい」と感謝している。

■3万人の前で

 寺田さんは社会人アメリカンフットボールの名門「オービックシーガルズ」の元チアリーダー。3年目を迎えた2016年にはキャプテンとして、社会人王者を決めるXボウルで、東京ドームの3万人の大観衆を前にパフォーマンスを披露した。

 チアを始めたのは、さいたま市の淑徳与野高校入学後。バトン部でチアダンスを始め、チームのオーディションで選手に選ばれて魅力に取り付かれた。3年生の時には主将として全国大会で10位に入賞。大学生になるとチアの社会人チームで活動し、3年生の時には全国制覇も経験した。

 インストラクターとしてもジュニアチームを全国優勝に導くなど、指導者としての手腕も発揮してきた。

■本当にやりたいこと

 米国を目指したのは、同じダンスレッスンを受けていた先輩が米プロフットボールリーグ(NFL)の試験に合格したことに刺激を受け、「自分らしいチアを追求したい」と本場で踊ることを決意。昨年は別のNBAチームで合格したが、就労ビザが取得できずに断念した。

 今年は早くから準備に取りかかり、両親を「本当にやりたいことだから」と説得して、3月には会社も退職。退路を断ち、人生を懸けて本番1カ月前に再び海を渡った。

 スパーズは、テキサス州サンアントニオに本拠を置く強豪。NBAでの優勝は5回を誇る。サンアントニオには有名チームが一つしかないため、地元での人気は高い。「地域を盛り上げるための意識を学びたい」と受験先に選んだ。

 7月に2日間にわたって行われた予選では、テクニックやヒップホップ、ソロダンスなどの審査を実施。3回にわたって絞り込まれ、100人以上の中から30人を選抜。さらに5日間の全員練習や面接、公開オーディションを経て、16人が最終的に選ばれた。

■伝えたい思い

 ホームステイ先だけ決めての渡米で、本番前には昨年以上の重圧がのしかかり、受験者のレベルの高さに挫折しそうになることもあった。

 それでも、挑戦を続けられたのは最終的に背中を押してくれた両親や友人、恩師や現地で世話になっている人たちの存在があったからだ。特に姉の優美さん(37)に晴れ舞台を見てもらうのは、自分の夢だった。

 優美さんは、生まれつきの脳性まひで肢体が不自由。優美さんに自分の活躍する姿を見せることで、「何でもできるよ」という思いを伝えたかった。

 チアリーダーは華やかさとは裏腹に待遇面では恵まれておらず、給与だけで食べていくことは不可能。シーズンが始まっても、生活費の工面やダンス練習など、貯金を取り崩しながら挑戦の日々が続いていくという。

 しかし、寺田さんは「支えてくれた人たちには言葉で言い表せないぐらい感謝している。コートに立つ姿を見せて恩返しをしたい。自分がコートに立つ日まで集中を切らさず、しっかり頑張っていきたい」と前を見据えていた。

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