2017年8月21日(月)

豪雨の被害最小限に、ソフト面の準備重要 洪水に備え教員が研修、情報活用のスキル磨く

荒川の地形模型で浸水状況の説明を聞く教師たち=4日、荒川知水資料館

 荒川流域で豪雨があった場合の被害を最小限にしようと、国交省荒川下流河川事務所(東京都北区、中須賀淳所長)が、幼稚園から小中学校の教員たちを対象にした研修に力を入れる方針を打ち出している。実際に洪水が起きた場合に備え、堤防の強じん化工事などハード面の対策とは別に避難対策などソフト面の準備が重要となる。事務所は、子どもたちを安全に避難できるよう土地勘を養い、気象情報を活用するスキルを磨くよう教師たちに促す。

 同事務所は4日、東京都北区内の幼稚園や小中学校の教師ら約50人を対象に、荒川の洪水を巡る防災研修会を開いた。いざというときに教師たちが、子どもたちを安全な場所に誘導できるように、との思いを込めた。事務所として初めての企画だ。

 研修会場となったのは同事務所の災害対策室。組織の中枢部で、各地の河川の水位状況や、発災した場合は災害状況がリアルタイムで画面に映し出される。

 荒川が氾濫し住宅街が浸水すると、電気や水道が止まりトイレは使えないことなどが想定される。「そんな状態が1週間も2週間も続く。劣悪な生活環境は高層マンションの10階にいても同じ。そういうことを想像してほしい」と中須賀所長は話す。

 その時、学校の子どもたちはどこへ逃げるのか。普段からイメージし安全に避難、誘導できるよう「土地勘を養ってほしい」と訴えた。

 気象庁や国交省がインターネットで発信している台風の進路、降雨の状況、河川の水位などの「情報」を活用するスキルも求められる。同事務所の中枢「災害対策室」の見学や「荒川知水資料館」の学習支援プログラムの活用も「子どもたちと一緒にやってほしい」と言う。

 同事務所に隣接する荒川知水資料館では、池部憲次副所長らが明治時代の東京の洪水をきっかけにした荒川放水路の建設など治水対策の歴史を解説。屋外の研修では日本生態系協会・教育研究センター長田辺龍太さんが、荒川堤防を歩きながら墨田川への水を調節する岩淵水門の機能や歴史を説明した。

 田辺さんは「同資料館と荒川の水辺の自然観察の勉強も兼ねた子ども向けの防災研修も有効だ。川口市内の小学校も積極的に参加してほしい」と話した。

 研修を共催した東京都北区教委の岡庭智憲主事は「水害では初めての教員研修会だが、大変勉強になった。成果を学校現場で生かしていきたい」と話した。

 同事務所の池部副所長は「今後は対岸の川口や戸田市の先生たちにも参加を呼び掛けたい」と話している。

【メモ】国土交通省のシミュレーションによると、荒川が氾濫した場合の浸水状況予測で、右岸では東京都北区から荒川区にかけての低地では水深0・5メートル以上の浸水が2週間以上続く。反対側の戸田、川口市でも3日以上続く。浸水地域では、電気やガス、上下水道、電話などのライフラインの復旧も遅れる。

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