2017年8月2日(水)

「ネットでも有名」通行止め突破、林道走るオフロードバイク…死亡も 行楽シーズン迎え飯能で苦慮

林道の通行止めゲート前で、県や市の職員から引き返すよう呼び掛けられるオフロードバイク。今年5月、この先の林道で死亡事故が起きた=6月、飯能市下名栗

 本格的な夏の行楽シーズンを迎え、飯能市の山間部で道路を管理する行政、警察が頭を悩ませている。通行止めを突破し、林道を走るオフロードバイクが後を絶たず、有効な手立てが打てないためだ。市内の国道299号の峠道を猛スピードで走る「ローリング族」とともに、もう一つの交通課題への対応に苦慮している。

 今年5月、都内の50代男性が同市下名栗の森林管理道(林道)大名栗線をバイクで走行中、誤って約100メートルの崖下に転落、死亡した。全長約21・7キロの大名栗線は落石の危険があるため、全線通行止めとなっていた。男性は整地されていない土や砂の上でも走行できるオフロードバイクに乗っていた。

 林道を管理する県川越農林振興センターによると、管内に13路線(総延長約98キロ)の林道が走り、うち6路線(飯能5、日高〜毛呂山1)が現在、通行止め。落石の危険のほか、のり面崩落、不法投棄防止などの理由だが、いずれも簡易なゲートで通行を禁止しているのが現状だ。

 通行禁止の林道を完全封鎖しないのは、規制の対象が一般車両に限定しているため。そもそも林道は森林を管理、整備するための道路で、森林管理に当たる車や地主の車などは規制の対象外。市内の通行禁止林道では、山歩きなどハイカーの進入も禁止していない。

 ただ急勾配や急カーブ、道幅が狭い上に十分なガードレールがなかったり、落石が転がっていたりと立ち入る際は注意が必要だ。一方で未舗装の走路を好むバイカーが、そんな林道に集まってくる。農林振興センターの井上洋二副所長は「林道は構造も必要最低限の規格。通常の生活道路の感覚で走行すると非常に危険」と注意を呼び掛ける。

 死亡事故を受け、農林振興センターと飯能市、飯能警察署は合同で6月、大名栗線の通行止めゲート前で注意を喚起するキャンペーンを行った。1時間半ほどの間にオフロードバイク20台がエンジン音を響かせて現れた。林道を抜けて名栗湖方面に向かおうとしたバイクの男性は「ここの林道はインターネット上でも有名。通行止めといっても、みんな行っちゃってるからね」と、あっけらかんとした様子だった。

 「通行止め」となった林道は公道とみなされず、危険な運転をしても道路交通法の適用外。一方で「立ち入り禁止」にすれば、バイカーは軽犯罪法(立ち入り禁止場所への侵入)に抵触するが、地主の無償提供を受けて整備した林道を、県の判断で立ち入り禁止にするのも、その権限は発動しにくい。

 夏休みになると、平日でもオフロードバイクの走りを楽しむため山間部にバイカーがやって来る。農林振興センターは、林道に施錠ゲートを設置するなど通行止めの強化に向け準備を進めている。

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