2017年7月20日(木)

<上尾男性放置死>ひとごとでない…施設の1日に密着 人手不足の今

 上尾市戸崎の障害者支援施設「コスモス・アース」で知的障害を持つ男性利用者(19)が車内に放置され熱中症とみられる症状で死亡した事故で、同様の施設からは「ひとごとではない」との声が聞こえてくる。普段どのように利用者の安全を守っているのか。さいたま市内の知的障害者施設の一日に密着した。

 午前8時40分ごろ、利用者を乗せた送迎車4台が続々と施設に到着。車から自分で降りて施設内に走って向かったり、自力では降車できなかったりと、利用者の姿はさまざまだ。

 全体を見回す職員がいる一方で、重度の利用者を施設内まで誘導する職員がいた。付き添いの職員は、送迎車が到着するごとに走って迎える。30代の支援統括責任者男性は「職員がその日に来る利用者を把握することが何よりも大切。点呼する時間を決めると、逆に頼り切ってしまう怖さがあるので、常に一人一人が確認を心掛けている」と話す。

 この日、施設に来た利用者は49人。送迎車は4ルートに分かれており、運転手がルートごとに利用者を把握する。運転手は利用者全員が降車するまで車から離れなかった。車内の運行記録に加え、施設内の送迎記録に利用者一覧表があり、ダブルチェックできる仕組みだ。

 全員の降車が済むと、朝礼が始まる。職員が出欠を取り、一人一人とハイタッチして確認。作業場のホワイトボードには、利用者の作業内容と担当の職員の名を記し、施設内で共有できるように工夫されていた。

 より重度な障害者が利用する生活介護では、19人の利用者に対し、この日の職員は5人。担当者は「配置基準で職員7人は必要だが、急な欠勤が重なると途端に人手不足。マンツーマンで手厚く見る余裕はない」と話す。

 知的障害者の行動特性はそれぞれ。歩き回ったりパニックを起こしたりする利用者がいるため、職員は限られた人数で常に目配せしながら対応していた。

 帰宅時間になると、職員全員が利用者とともに外に出て一人一人に声を掛け、送迎車を最後まで見送っていた。

 19歳の男性利用者が亡くなるという結果を招いた上尾市の事故。30代男性は「施設の責任だけで終わらせては何も改善されず、現場は重い課題を突き付けられている。まだまだ知的障害者施設は地域に敬遠される傾向で、もっと地域で見守れる体制になれば、施設もより良くなっていくと思う」と語った。

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