2017年6月11日(日)

密告社会を懸念 共謀罪の本質議論、さいたまで埼玉弁護士会が集会

パネルディスカッションに参加したいずれも弁護士の(右から)木谷明さん、山本妙さん、加藤健次さん=9日夜、さいたま市浦和区の浦和コミュニティセンター

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案に反対する市民集会「共謀罪にレッドカード」(埼玉弁護士会主催)が9日夜、さいたま市浦和区で開かれた。いずれも弁護士で、衆院法務委員会参考人の加藤健次さん、元裁判官の木谷明さんによる講演のほか、岐阜県大垣警察署の市民監視違憲訴訟の山本妙さんが事例報告。法律の専門家の立場から、憲法に反する共謀罪の本質、捜査機関の乱用の懸念、物言う市民が権力に監視される社会の恐ろしさを訴えた。

 法案に反対の立場から国会で意見陳述した加藤さんは「話し合っただけ、またはその場にいただけで処罰されるのが共謀罪の本質。近代刑法の原則や憲法に反している」と指摘。政府は「犯罪の準備行為や組織的犯罪集団に限る」「対象犯罪を277に絞る」と説明をしているが、加藤さんは「考えただけで処罰するという本質が変わっていないから、要件を厳しくしたと言っても意味がない。政府の意に沿わない活動をする人たちが全て対象になる」と語った。

 山本さんは、中部電力子会社の風力発電施設建設計画に対する勉強会を開いた市民の個人情報を、大垣署が事業者に提供していた事件の経緯を説明。事業者と警察が行った意見交換会の議事録を配り、一般市民の名前、経歴、以前に関わった市民運動などの情報が漏らされたことを具体的に示した。その上で「勉強会だけで実際に運動をしていなくても、共謀罪が成立していなくても、警察が好ましく思わない人物を監視し、情報を勝手に提供することがあり得る」と述べた。

 木谷さんは元裁判官の視点から、共謀罪の捜査で裁判所が歯止めにならないことを警告した。捜査機関が請求した逮捕状は、ほぼ100%の割合で発布されていることを挙げ、「司法審査は、捜査官の提示する一方的な資料によって判断され、名ばかりになっている。捜査機関は好みの裁判官が担当する日を選んで令状を請求することだってある」と自身の経験を話した。

 最後に行われたパネルディスカッションでは、山本さんが、大垣の訴訟で市民同士が密告されているのではと疑心暗鬼に陥ってしまった内実を告白。加藤さんはこれを受けて「共謀罪を認める社会とは、人の集団を見たら疑う社会。人と人がつながることによって安全な社会をつくるのか、そのつながりを絶って権力に任せるのか」と監視、密告社会の危険性を問題提起した。

購読申し込み 携帯サイト

Sponsored