2017年3月27日(月)

我慢限界!モヤシ業界廃業続く 埼玉安売り激戦…せめて1袋40円で

モヤシ業界の厳しい現状を語るサイキ食品の斉木哲也社長

 このままでは「モヤシ」が日本の食卓から消えてしまう―。

 工業組合もやし生産者協会(東京都足立区)は、スーパーなどの小売業者に対して、モヤシ生産者の窮状に理解を求める声明を発表した。原料種子価格や人件費といった生産コストが上昇を続ける一方、安売り競争に巻き込まれて販売価格は下落。健全経営ができない状況にあるという。

 同協会の林正二理事長(旭物産社長)は「生産者はもう我慢の限界を超えている。適正価格で販売してほしい」と訴えている。

■高騰続ける原料価格

 同協会によると、主な原料となる中国産「緑豆(りょくとう)」の価格が、2005年の約3倍に跳ね上がっている。背景には、作付面積の減少(価格の高いトウモロコシなどに栽培をシフト)や為替相場の変動(円安)などがあるという。

 日本生産のもやしは、緑豆を発芽させた「緑豆もやし」が8割以上を占める。緑豆価格の高騰は経営を大きく圧迫している。

 天候不順も影響している。緑豆は雨に弱く、主に中国内陸部の乾燥地域で栽培されているが、昨秋の収穫期に降った雨の影響で緑豆の品質が悪化。日本のもやしに適した高品質な原料種子の収穫量が激減し、輸入価格は過去最高の水準となっている。

 原料以外のコストも上昇している。最低賃金は05年比で約2割増え、運送費なども増加傾向にある。

■激戦区・埼玉は18円も

 一方、スーパーではモヤシを安売り商品の目玉とし、激しい価格競争を展開している。販売価格は05年比で約10%下落。

 林理事長は「現在の平均価格は1袋(200グラム)30円前後。ピークだった1992年の41円と比べると、10円近く下落している。特に埼玉は激戦区。利益を度外視し、18円、19円で売っているスーパーもある」と説明する。

 厳しい状況を受けて、廃業も相次いでいる。09年には全国で230社以上あった生産者は、130社を切っているという。

 「消費者からは、10円ぐらい値上がりしても構わないとの声が多く上がっている。せめて1袋40円前後で売ってほしい。モヤシは食生活を豊かにしてくれる素晴らしい食材。日本の食卓から消さないためにも、ぜひ適正価格での販売をお願いしたい」

■食卓から消える

 県内一のモヤシ生産量を誇るサイキ食品(所沢市)の斉木哲也社長は「緑豆の価格はさらに高騰し、人件費も上昇している。モヤシ業界は過去最も厳しい状況」と吐露する。

 14年に天候不順で緑豆の価格が高騰した時も、同協会から窮状への理解を求める声明が出されている。「顧客の中には、快く値上げを受け入れてくれたスーパーもあったが、全く聞き入れてくれなかったり、取引を切られるケースもあった。今回は天候不順の影響もより深刻で、状況が悪化している」。

 自助努力で商品価値を高めようと、昨年9月には「有機(オーガニック)もやし」を発売し、従来商品の倍以上の価格で販売。徐々に販路を開拓しているものの、爆発的とまではいかないという。

 「このままでは生産者がいなくなってしまう。現状を理解していただき、快く値上げに応じてほしい」。モヤシの価値が以前の水準に戻る日を切に願っている。

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