2017年1月4日(水)

非行を体現「さいたまんぼう」 越谷署の悪者キャラ、非行防止に活躍

さいたまんぼう
「さいたまんぼう」を生み出した越谷署の伊藤裕希巡査(右)と、入江美和子補導員=越谷署

 ビール片手にたばこを吹かし、口のピアスにとがったサングラス―。見るからに不良のキャラクター「さいたまんぼう」が昨年7月から、越谷署の非行防止教室でひそかに活躍している。飲酒や喫煙など、やってはいけない五つの非行行為を体現。「ストップ!さいたまんぼう」を合言葉に、反面教師として青少年健全育成に貢献している。生みの親の同署の伊藤裕希巡査(30)と、非常勤職員の入江美和子補導員(45)は「ポッポくん、ポポ美ちゃんと並ぶ県警公認キャラクターを目指したい」と意気込んでいる。

■天涯孤独

 海なし県の埼玉でマンボウ、しかもヒーローではなく悪者という異色のさいたまんぼうは、非行行為の「さけ」「いじめ」「たばこ」「まんびき」「ぼうりょく」の頭文字を合わせて名付けられた。「いろんな影響を受けやすい」思春期の特徴を表現。ちなみに脚があるため、正確には「マンボウを模したキャラクター」という。

 設定は、あるマンボウがストレスから逃れるため幼い頃から非行に走り、いつしか悪の道へ。その姿を夏休みを利用して海に訪れたポッポくんに目撃され、「このままではいけない。更生させよう」と越谷市に保護された。自身の悪行を理解させるため、非行防止教室に同行。天涯孤独の身には「非行行為を繰り返していると、いつか一人ぼっちになってしまうよ」とのメッセージが込められている。

■手作り感

 伊藤巡査と入江補導員は昨年4月、同署生活安全課の少年係に配属された。2人で管内の小中高校に出向き、児童生徒を対象に非行防止教室を開いていたが、「話をするだけでは子どもたちの印象に残らず、反応もいまひとつ」だった。そこで7月の非行防止月間を機に「どうやったら、うまく伝わるのか」を考えた。

 伊藤巡査は高校教員、入江補導員は保育士の免許を持ち、もともと子どもたちに教えることが好きだった。そんな2人がたどり着いた結論は、キャラクターと合言葉の活用。まず名前と設定を考案、それをもとに「非行行為を体現した非行防止キャラクター」を作り出した。「親しみやすいよう手作り感を大切にした」と入江補導員。

 非行防止教室では、さいたまんぼうの絵をパネルやパソコンを使って見せ、それぞれ非行行為の内容や恐ろしさを説明、最後に「さいたまんぼうになっちゃだめだよ」と諭す。これまで同署管内の10校約5千人に周知。見た目のインパクトのせいか、子どもたちも興味を持ち、中には「さいたまんぼうを広めたい」と応援してくれる子もいるという。

■最終目標

 伊藤巡査によると、最近は現実の人間関係に加え、SNS(会員制交流サイト)などを通じて他人と知り合い、非行に走るケースが増加。昔に比べて間口が広くなっていると警鐘を鳴らし、「それだけにルールを守るという個人の規範意識の醸成が一層重要になっている」と強調する。

 非行の内容も多様化している。特に懸念されるのが薬物乱用といい、非行防止教室でも、さいたまんぼうの特徴を組み合わせて「飲酒と喫煙は薬物の入口。絶対にやらないで」と訴えている。さまざまな場面に応用できるのもキャラクターの強みだ。

 こうした地道な活動が認められ、さいたまんぼうは昨年12月、同署のホームページにデビューした。最終目標は県警の公認キャラクター。道のりは長いが、伊藤巡査と入江補導員は「まずは地元で多くの人に知ってもらい、存在感のある子に育てていきたい」と力を込めた。

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