|
大宮アルディージャ未来予想図
|
||
|
||
■2つの課題今回の取材で浮き彫りとなった課題は、クラブとしてのビジョンがこれまで明確でなかったこと、J1昇格後は地元にあまり目が向いていなかったことの二つに集約される。プロサッカークラブを経営する上で、当たり前のことをやっていなかったということだ。やっていたと反論するならば、それが相手には伝わっていなかった。 アルディージャはメーンスポンサーであるNTTが経営していると言ってもいい。現状ではクラブがNTTに目を向かざる得ないのはある意味、仕方のないことなのかもしれない。 ただ、それにも限界がある。相川宗一さいたま市長は「クラブがNTTに目が向いていたっていい。でもNTTがそれに応えていない」と話していた。元大宮社長の大木一夫NTT東日本副社長にも話を聞く機会があった。大木氏個人としてチームを応援する気持ちは伝わってきたものの、副社長の立場となると慎重に言葉を選ぶ。 J1で3年目のクラブはメーンスポンサーの広告収入に頼らざるを得ない状態にある。せめて独り立ちするまでは支えてほしいという気持ちがある半面、その期間にクラブはしっかりと地元との絆(きずな)を深め、近い将来に親離れできるように力を付けるべきだ。 ■独り立ちへまずは渡辺社長がクラブのビジョン、夢を積極的に発信することが必要だ。それを実現するための取り組みとして、短期的視野に立てば、選手との触れ合いの場をより増やすということになる。ファンの声を聞いても、アルディージャは選手との距離が近いことが大きな魅力。この点に力を入れてほしい。 中、長期的視野に立てば、やはりクラブハウス。現在、志木市にあるものをさいたま市内につくる。芝2面、人工芝1面が理想で、事務所もクラブハウスに移す。ファンのためにカフェやショップ、選手と触れ合えるスペースを設置するのは当然のことだ。良い環境が整えば、より多くの一流選手がここでプレーしたいと思う。そうなるとチームは強く、魅力的なものになり、観客は増える。 地元とのつながりも積極的に深めたい。商店街との密な連携に加え、祭りやイベントに積極的に選手を派遣する。藤本が提唱した小学校訪問事業も定期的に行うことが理想だ。 ■変革への芽生えクラブもこのままではいけないという意識が芽生え始めており、サポーターも問題意識を持ち始めた。2月には有志主催で観客動員を考える会合が2度開催され、非公式ながらクラブ首脳も参加したという。今後も月に1度開催していく予定だそうだ。ある会合には渡辺社長が参加し「皆さんの意見をしっかり受け止めて、改善していきたい」と前向きな姿勢を見せたという。クラブと地元がアルディージャを良くしていくために、いろんな機会で意見交換することは、非常に発展的でよいことだ。 これまでアルディージャはプロクラブとして当たり前のことをやってこなかった。ただ、前向きに考えるならば、まだ昇格3年目。連載の中で報告した通り、地元にはクラブを支えたいというファンは潜在的にいる。クラブが「本気」になれば可能性は広がる。 先日、鬼武健二チェアマンとアルディージャの将来について話をする機会があった。そこでチェアマンは「要はここだよ」と自分の胸を指してみせた。つまりはやる気の問題。親会社を見るのか、地元を見るのか。それはクラブの気持ち次第。「愛されるクラブ」を目指して、大宮アルディージャの歩むべき道は明白だ。 =おわり= |
||
| (2007年3月1日付本紙掲載) | ||
|
ニュースの詳細は埼玉新聞でどうぞ。 |