ヤミ金融被害 「夜明けの会」の救済活動から
6.被害体験生かし相談員に
糸口見つけ業者説得

 「これからそっちに行くから待ってろよ」「借りた金返さないヤツは人間じぇねえんだよ」「お前のダンナ、今日は帰らないかもしれないよ」。受話器の向こうでまくし立てる業者に一瞬ひるんだ女性被害者が、「夜明けの会」の相談員から手渡された紙切れを見て、うなずいた。「金は絶対返さないと言う」と走り書きされたメモ。女性は涙声を振り絞った。

 同会の場合、被害者救済といっても相談員や世話人会の司法書士任せにはしない。被害者が業者と直接話し合うことからすべてが始まる。相談員は被害者を励まし、話し合いの糸口を見つけ、業者を説得する。専門的な知識と経験なしには務まらない。

 相談員の吉田豊樹さん(三〇)も昨年四月まで被害者の一人だった。大手メーカーに勤めていた七年前、会社や銀行からの融資で都内に中古マンションを購入したが、直後に転勤。バブルが弾けて買い手もつかず、ローン返済に行き詰まって、〇一年に自己破産した。

 両親が立て替えた弁護士費用四十万円を返そうと、ヤミ金一社から十万円を借金。十日で五割の利息を返済するため借金を繰り返し、返済額は雪だるま式に膨れ上がった。会社は退職。業者の電話対応に追われ、返済のために稼ぐ間もなかった。

 「息子はここで首をつって死んでいる。警察が来て、現場検証している。借金なんか知らない」。昨年四月、自宅に掛かってきた業者の電話に、必死に立ち向かう親の姿に涙が出た。その翌日、テレビで見た被害者団体に相談。「夜明けの会」を紹介された。

 昨年八月から仕事の合間に週四回、「夜明けの会」で相談員を努める。自分の経験が役に立てばと思っている。「借りたものは返せという、業者の言い分も分からなくはない」と吉田さん。

 だから同会の救済支援は一度きり、二度目はない。業者との話し合いを相談員任せにしないのは、被害者自身が反省し、ヤミ金から抜け出す大変さを骨身に刻んでもらうためだという。

 現在、都内だけで六千を超えるヤミ金業者がいるという。新たな被害者とならないためには−。「借りないこと」。それだけだ。

 (ヤミ金被害などの相談は「夜明けの会」専用電話048-774-2862)

=終わり=

(2003年1月21日掲載)

ニュースの詳細は埼玉新聞でどうぞ。
購読申し込みは0120-633-888またはこちら。
saitama-np.co.jpの記事・写真の無断転載を禁じます。
日本の著作権法並びに 国際条約により保護されています。
Copyright 2003 The Saitama Shimbun