ヤミ金融被害 「夜明けの会」の救済活動から
1.しぼり出す後悔の言葉
増え続ける相談

 「簡単審査で五十万円。本日中に入金」「秘密厳守。家族、会社に内緒OK」「人柄が審査の対象です」。突然送られてきたダイレクトメールに心揺らいだ時から、既に人生の階段を踏み外しているのかもしれない。法外な高利で金を貸したり、無登録で強引に取り立てる「闇金融(ヤミ金)」が増え、被害も急増している。

 桶川市にある被害者団体「夜明けの会」には、連日途切れる間もなく相談の電話が舞い込む。年々相談件数は増え続け、昨年は三千件に届く勢いだった。相談者は二十歳前後の若者から七十歳以上の高齢者まで。借金の理由は、遊興費や生活費、マイホームローンや会社の運営資金などさまざまだ。

 利息が十日で一割、十日で三割は当たり前。中には年利7000%を超えるケースもある。出資法の制限金利(年利29・2%)を大きく超える違法営業、連絡や支払いが遅れた違反金と称して、返済とは別に数十万円を要求する業者もいる。貸金業の登録業者ならば安全、とは限らない。登録料はわずか四万円程度で、特別な審査も必要ない。行政の監視を盗んで悪質化する登録業者も多い。

 店舗を持たず、携帯電話一本で営業する「090金融」、業者間で情報交換し、借金返済に苦しむ被害者の口座に無断で金を振り込む「押し貸し」など、手口は多様化している。「夜明けの会」では昨年九月、相談者八十五人の被害状況をまとめ、出資法違反容疑でヤミ金約七百社を埼玉県警に告発した。

 県北部で創業二十数年のかっぽう料理店を経営していた男性(54)は、約半年間の流浪の末、同会にたどり着いた。バブル期には月六百万円を売り上げたこともあったが、不景気で接待に使う企業が激減。銀行融資も難しくなった昨年六月、何とか店を立て直そうとヤミ金に手を出した。

 借りた元本がいくらぐらいだったのか、計算する気にもならない。借金はあっという間に百五十件、四百五十万円にも膨れ上がっていた。「もう返す気はなくなった。生きて動いているからカラスに突っつかれない。風が吹いたら飛んでしまいそうだ」。無表情のまま語る男性に生気はなかった。

 水道、電気も止められ、店を閉めて夜逃げしたのは三カ月後の九月。十月、離婚。二十回以上死を考え、柱に掛けたロープの輪に何度も首を入れた。「自分で簡単に死ねるなら、死にたい。借りて駄目になるなら、借りる前に店を駄目にした方がよかった」。絞り出すようにつぶやく男性の顔に初めて後悔の色が浮かんだ。

(2003年1月12日掲載)

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