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見えない貧困 埼玉発 崩れる暮らしと仕事
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識者に聞く〔4〕
滑り台社会 脱却を NPO法人自立生活サポートセンター「もやい」事務局長 湯浅誠氏 |
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暮らしの再建を手伝うNPO法人自立生活サポートセンター「もやい」には、さまざまな相談が寄せられる。二十一歳の男性は父親と同じくホームレス状態になった。三十四歳の男性は七年間、さいたま市のネットカフェで暮らしていた。 事務局長の湯浅誠氏(38)は「日本全体が貧困化している。ここ一、二年で誰が相談に来ても驚かなくなった」と感じる。 貧困状態にある人は「溜(た)め」が小さくなっている。貯金がある人は金銭的な溜め、親や友人がいる人は人間的な溜め、自分に自信を持っている人は精神的な溜めを持っている。貧困はそういった溜めが相対的に奪われた状態だ、という。 「溜めの大きさは人それぞれ。でも大きな溜めを持っている人はそのことに無自覚になる。だから非常に大きな溜めを持っている福田首相も安倍さんも小泉さんも『頑張ればできるはずだ』なんて簡単に言える」 貧困を生む背後には「五重の排除」がある。教育、企業福祉、家族福祉、公的福祉、そして自分自身からの排除。「企業と家族が崩れている。社会保障にも見放されている。こんな世の中では生きていても何もいいことはないと思ってしまう」 「貧困は自己責任」という声が根強い。「選択肢がある中で自分で選んだ。だからその結果を引き受けなさい」という論理だが、貧困状態にある人には選択肢がない。 低賃金で貯金できないまま失業した人が仕事を探すとき「常用か」「日払いか」で仕事を選ぶことはできない。その日の生活費が必要だからだ。条件の悪い日払いの仕事を続けるしかない。 湯浅氏はこれまで延べ数万人のホームレスに出会った。知る限りでは、自分でお金をためてアパートを借りた人はわずか二人。そのうち一人は無理がたたって、入退院を繰り返している。「何の手助けもなく生活を立て直すのは(野球選手の)イチローになるぐらい大変なこと。貧困状態になるまでに早めに対応するしかない」と考える。 さまざまなセーフティーネットがあれば早めの対応が可能だ。だが今は「一度転んだら落ちるだけの滑り台社会」。年金や健康保険などの社会保険、生活保護などの公的福祉。社会保障のさまざまな面でほころびが目立っている。 「セーフティーネットを張り直してその上に支え合いを積み上げていきたい。病気になっても家族、企業、生活保護などの歯止めが櫛(くし)の歯のようにいっぱいある。そういう社会をつくりたい」 =おわり (2008.1.29付掲載) |
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