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見えない貧困 埼玉発 崩れる暮らしと仕事
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派遣社員〔1〕
昼は社員 夜は請負 「人としてあり得ない働き方」 |
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「とりあえずここにサインして」。県西部の人材派遣会社の正社員になろうとしていた大久保祐司さん=仮名=(35)は、会社から二通の契約書を渡された。会社との「労働契約書」と、系列会社との「業務請負委託基本契約書」。人材派遣の仕事を探し、派遣社員を紹介するという一連の仕事だが、契約書は二つあった。 「『会社のシステムがこういう形なので』と言われただけで、説明は全くなかった。今から考えれば残業代を払わないための契約だった」 労働契約書による勤務時間は午前九時から午後六時まで。それ以降は大久保さん個人が系列会社と結んだ請負契約となり、労働時間に関係なく給与は定額という内容だ。 無料求人誌でこの会社を知った大久保さんは二〇〇四年秋、派遣社員として登録。工場に派遣されて一カ月、仕事に慣れたころに職場を変えられた。次は食品工場。目だけが出る白衣を着て一日中、白菜を刻み続けた。 あまりの単調さに「もう辞めよう」と思っていたところに、会社から「営業の正社員にならないか」と声を掛けられた。顔見知りの正社員が多かったこともあり、何の説明も受けないまま二つの契約書にサインした。 派遣会社の営業は会社を回って請け負う仕事を探し、契約した派遣社員を送り込むこと。食品工場や倉庫業のほか、ウエートレス、ビラ配り、買い物の代行。どんな仕事でも扱った。大久保さんは十社に三十人ほどの派遣社員を送り込んだ。 現場が駅から遠ければ、派遣社員の送迎は大久保さんの仕事。送迎時間は午前五時三十分から遅いときは午前零時を過ぎるなどバラバラ。二十四時間稼働の工場が多い上、三社は三百六十五日休みなし。担当は大久保さん一人なので休めない。 〇六年七月からの三カ月間で休日は八日間。だが、会社に提出する出勤簿は毎月二十日間勤務に書き直していた。派遣社員の人繰りを付けるため、毎日夜中まで電話をかけ続けた。過労から胃を傷め、送迎先の会社の駐車場で血を吐いた。 労働契約書によると、大久保さんの月給は十一万四百円。日額五千五百二十円で二十日間の計算になる。生計を立てるには午後六時以降の業務請負契約は欠かせなかった。請負は定額制で月額十五万九千六百円。これを足して月収二十七万円になった。 この人材派遣会社での仕事は「人としてあり得ない働き方だった」。無理を続けてきたが、正社員になって二年で退職した。 (2008.1.11付掲載) |
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