新しい県政のかじ取り役を選ぶ出直し知事選がスタートした。土屋前知事が政治資金をめぐる不祥事で辞職し、県政は大きく揺らいでいる。財政も危機的状況にあり、今回の選挙で問われる課題は重い。「乱立選挙」とされる戦いに挑む候補者は、これらの問題にどう取り組もうとしているのか。埼玉新聞社は主な候補者として杉崎智介、坂東真理子、島津昭、高原美佐子、浜田卓二郎、上田清司の六氏にアンケートを実施し、考えを聞いた。
| 杉崎智介氏 | 坂東真理子氏 | 島津昭氏 | 高原美佐子氏 | 浜田卓二郎氏 | 上田清司氏 | |
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3期11年の土屋県政をどう評価しますか。評価できる点、できない点を具体的に示してください。 |
政党、団体へのしがらみ政治。政治家とのかかわりで勝ち残れる業界の体質をつくってしまった。 | 前知事は功も罪も大。県発展への寄与は評価できますが、しがらみが多く、内部の批判者がなくなって取り巻き政治がこの事態を招きました。県庁内の状況を知っている私だから、しがらみのない選挙で政治を変えます。 | 政治資金の問題や県政への長女の介入は許されることではありません。政策面ではリーダーシップを発揮し、一定の成果を挙げた点は評価しているが、県の財政が大変厳しい状況に陥っているという問題があります。 | 厳しい財政状況にもかかわらず拠点開発や豪華施設建設に熱中、県財政を借金漬けにした責任は大きい。その一方、子ども病院の廃止や県立高校の統廃合、福祉施設の民間委託を進めるなど福祉や教育を切り捨ててきた。 | 「彩の国」を浸透させ、埼玉のイメージ向上に貢献。一方、秘書課職員40人超がいい例で、「皇帝政治」を行ってしまった。それが、県民に直結する「現場」を軽視する風潮を生み、自由闊達(かったつ)な政策議論を封じた。 | 全国知事会会長など要職を歴任され、大物知事という意味で県のイメージアップを図った点は評価できる。ハコモノ行政や借金額が3倍になるなど財政運営では厳しい評価となる。 |
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事業見直し 土屋県政は多くの大規模プロジェクトを手掛けましたが、地下鉄7号線の延伸、SKIPシティ、本庄拠点都市づくりなど途中段階のものもあります。事業を見直すかどうかも含めて取り組む姿勢を聞かせてください。 |
事業の再検討を行いますが、地域間の格差をなくすものなど必要なものは、事業がどうすればより効果的に、かつローコストになるかを考えたい。 | 新たな大型公共施設の建設は凍結。継続中のものは、基礎的な需要予測など全面的に見直します。地下鉄は料金体系を含めて経営再建を進め、SKIPシティは生活型ソフトの活用、本庄では早大と内容充実を図ります。 | 大規模なプロジェクトについては、戦略的に真に必要なものに厳選していきます。地下鉄7号線については、徹底的なコスト削減を進めるとともに沿線整備と併せて延伸を進めていきます。 | さくらの郷計画は中止、SKIPシティ、本庄拠点都市は大幅に計画を見直し。地下鉄7号線延伸計画は今後の経営や需要を見通す必要があります。高速道路やダム建設は計画を白紙に戻し、県民的な議論を尽くします。 | ハードとともにソフトを充実させることで、事業の付加価値を高める。例えば、地下鉄7号線は延伸と同時に新交通システムとの連結で利便性を向上。本庄地方では、豊かな自然を生かし学術・文化・ベンチャー都市の開発を推進。 | 大型公共事業は民間人を採用した再検討委員会の提言を受け、見直しを行う。継続する事業も優先順位を設け、「選択と集中型」の投資を行う。 |
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政治倫理 前知事が辞職するきっかけとなった今回の事件について、どのような考えを持っていますか。また、再発防止のための方策として考えていることを示してください。 |
政党や政治家、団体とのしがらみが原因。県庁の電子化、県民ご家庭へのIT化を行うため、700万県民に24時間情報が開示されている県庁にすると、同様の事件は起き難くなると思います。 | 極めて残念な事態でした。知事が権力者となり、顔色を見ておもねる取り巻きを抱えることはやめ、能力や創意工夫の人材を配置します。企業や業界団体の政治献金は一切受けず、情報公開、外部監視を強めます。 | 政治資金の問題や県政への長女介入は許されることではありません。政治資金に関して自らに厳しいルールを作り、このルールに従った収支を県民の皆さまに全面的に公開します。 | 事件の背景には、ワンマン行政による県政の私物化、議会のオール与党化によるなれ合いがあります。政治倫理の確立には企業・団体献金の禁止、意思決定過程まで含めた情報公開の徹底、県民参加の県政運営が必要です。 | 政治家としての活動やお金については、常に県民のチェックが必要。まず、知事在任期間中は、県発注事業を受けた企業・個人からの政治献金は受け取らない。また、政治活動資金の収支を毎年公開する。 | 「政治と金」の問題はしがらみをつくらないという政治家の断固とした意志が必要。私は県との取引企業からの献金は受け取らない。 |
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知事の任期 多選批判が強まっていますが、知事の任期についてどう考えますか。具体的に何期までという提案があれば示してください。また、多選自粛条例の用意はありますか。 |
2期8年を上限とする条例を作ります。 | 知事が1期やるか、2期やるかは、県民が選挙で決めること。全力投球すれば2期8年で十分でしょう。絶対・専制的権力は必ず腐敗します。多選を自粛する条例により、県民に決意を示すことは必要です。 | 私自身は多選は反対です。知事は議員と異なり、強大な権限を有することから、法律(地方自治法の改正)で多選を禁止すべきと考えています。 | 多選だから駄目という考えには賛成しません。土屋県政は1期目から腐敗していました。問題は政治と金の関係を断ち切ること、県民に奉仕する姿勢ではないでしょうか。多選自粛条例については県民の意向を尊重します。 | 1期に全力投入する。1期でめどがつかなければ2期やってもできないという覚悟で臨む。一般的に言えば、2期8年が上限。権力は必ず腐敗するもの。多選自粛については、条例よりむしろ法律で定めるべき。 | 県政の停滞と腐敗を防ぐという観点から、3期12年を限度とする多選禁止(自粛)条例を新たに策定する。 |
| 杉崎智介氏 | 坂東真理子氏 | 島津昭氏 | 高原美佐子氏 | 浜田卓二郎氏 | 上田清司氏 | |
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財政再建 県財政をどう立て直しますか。具体的な道筋を示してください。 |
県庁電子化、県民各家庭へのIT化。このITは「地域ITネットワークシステム」といい、社会のコストを低減しサービスを向上させるもの。現物をご覧いただけます。小さな財政とし、その分をNPOに分担します。 | 県の借金は民間の専門家チームにより財務諸表を作成し、工程表にそって連結ベースで再建します。また大型公共施設建設を凍結、従来の無駄をなくし、利権を招くしがらみを断って、サービス水準は確保します。 | 5年間で議員を1000人、外郭団体も2割削減する徹底した行財政改革を実施します。知事退職金も半減します。市町村とスクラムを組んで国から税源移譲を勝ち取ります。産学官連携による産業振興策も実施します。 | 財政危機の原因となった豪華・大型施設の建設や開発を根本から見直すことです。さくらの郷計画は中止し、公共事業も福祉・環境型に切り替えながら削減します。また、大企業に対する超過課税について検討します。 | 第三者委員会による行政の評価や監視、決算に対する徹底的な外部監査の実施でムダを排除。赤字事業は、民間の創意と工夫で黒字化へ。雇用の拡大、産業の活性化により税収増を図るとともに、国へ税源移譲を迫る。 | まず知事給与、賞与、退職金を2割削減するなど徹底的な行財政の効率化を図る。財政再建PJチームに民間人を採用し、任期中に県債依存度を15%以内にする。観光産業の育成など税収拡大の方策も実施。 |
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地方分権 これからの地方分権の進め方について、考えを聞かせてください。また、国からの税源移譲など三位一体改革、それに対応する地方の在り方についてどう考えますか。 |
地方分権には地方自治体も自立できる組織づくりが必要、早急に組織編成に取り組みます。 | 市町村が行政の最前線であり、県はその市町村をサポートします。地方の主権を確保するには国庫補助金を削減して地方税への移譲が当然です。また地方交付税に中央官庁が裁量を加えることは廃止。 | 市町村を中心とする分権改革を進めるべきです。真の分権改革のためには、税源移譲を中心とする三位一体改革が不可欠。市町村とスクラムを組んで税源移譲を勝ち取ります。 | 税源を大幅に地方に移譲し、地方自治体の財政基盤を強化することなしに地方分権はあり得ません。庶民増税と一体の税源移譲ではなく、標準的な行政サービスを国民に保障する国の責任を明確にした改革が必要です。 | 東京都などとの連携による広域行政化を推進。行政の広域化により事業効率を高める一方で、広域行政圏としての権限と財源を移譲するよう国に強く要求。国と地方の在り方を根本的に変えることに向け、埼玉から発信。 | 道州制も見据えて、まず首都圏の知事による連合をつくり、国を動かしていく。中央集権型国家でなく、より(権限などが)小さな政府になっていくことが必要。 |
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市町村合併 合併の在り方についてどう考えますか。現在、各地域で進められている合併協議への支援策をどう考えますか。 |
合併は有効な場合とそうでない場合があります。特例債を当てにしても10年後は待ったなし。県も各市町村も自立できる体制づくりが必要。合併について県は市町村とパートナーとして対応したい。 |
合併は行政の広域化、効率化などの点では必要。前提は住民主権に立つ市町村が主体です。歴史的経過などを踏まえた協議をし、県はそれを尊重し、必要な人的、専門的支援をします。これに伴い、県の権限も自治体に移譲します。 | 地方分権を進めていくためには市町村合併の議論は避けて通れませんが、地域で自主的に議論すべき問題で国や県が強制すべきではありません。市町村の自主的な合併については積極的に支援していきます。 | 市町村の合併の是非は住民の自主的な判断に基づくのが基本で、政府や県が財政的な圧力で上から押しつけるやり方には反対です。合併協議では、十分な情報提供と住民討議、意思決定への参加が保障されるようにします。 | 実質的に「現場」を担う市町村が、個性的で、より効果的な自治体になるような合併を誘導、促進。人材の提供など、市町村が抱える問題を解決するため全面的にバックアップ。これを「埼玉方式」として全国に発信。 | 生活圏が拡大しており、市町村の枠組みを見直す必要があるのは自然なこと。しかし単純な合併だけでなく、広域行政などさまざまな形態を検討することが必要。 |
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その他 ほかに教育、環境、福祉・医療などの分野で優先的に取り組むべき課題を挙げ、具体的なプランを示してください。 |
地域ITとNPOへの分担で教育、環境、福祉、医療は大幅に向上します。教育は不登校やフリースクール等への対応が向上、環境修復事業をNPOで実施など。 | 次世代の育成を大切に実行します。放課後の子どもの居所確保など、子育てと仕事の両立を図り、人道主義の理念で障害者(児)に具体的配慮をし、また高齢者の小規模多機能施設やヘルパー拡充も進めます。 | 【治安】警察官の増員、治安担当スタッフの創設、交番5割増 【教育】少人数授業、IT教育の充実 【福祉】特別養護老人ホームの定員倍増、保育所待機児童ゼロ 【環境】リサイクル社会の実現、みどりの保全 | 少子高齢社会への対応として、乳幼児医療費とゼロ歳児保育料の無料化、特別養護老人ホームと保育所の待機者(児)の解消という「4つのゼロ」に取り組みます。教育では30人以下学級の実現に全力を挙げます。 | 女性、高齢者、障害者のかたがたの社会参加を支援。働きたい、社会とつながりたいという意欲を形にできる環境を整備。利便性の高い保育所の設置、高齢者への県業務の委託、公共施設などのバリアフリー化の促進など。 | 年間250人の現場警察官を増員し、日本一安心、安全な埼玉県にする。NPOが自立できる環境づくり、「官」から「民」へを実現する。景観条例の作成など環境循環型の地域社会をつくる。特別養護老人ホームを増床し、保育所待機児童をゼロにする。 |
| 杉崎智介氏 | 坂東真理子氏 | 島津昭氏 | 高原美佐子氏 | 浜田卓二郎氏 | 上田清司氏 |
【2003年8月25日掲載】
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