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■深呼吸 「能面のように固まっていたお母さんの顔が、月例会が終わるころには柔和になる。時には笑顔を見せてくれることもある。それがうれしくてね」。全国引きこもりKHJ親の会代表の奥山雅久さん(56)が、こんな話をしてくれた。 携帯電話には、全国から窮状を訴える声が毎日届く。「この問題で疲れ果て、ゆっくり息もできないお母さんもいる」。月例会では「みなさん、深呼吸してください」と最初に呼び掛ける。 ■本気で取り組む ひげとつえが奥山さんのトレードマークだ。14歳で骨肉腫(しゅ)を発症、左脚を根元から切断した。病気は肺に転移し、4分の1しか残っていない。「あと3カ月の命」と医者から宣告されながら、結婚もし、2人の子どもも生まれた。 気持ちの優しい、いい子だった長男(25)が、ある日突然、暴力を振るい始めた。身の危険を感じた奥山さんは夫婦でアパートに引っ越し、長男とは今も別々に暮らす。 「病と戦う人生より、長男のひきこもりの方がつらい。どうしていいのか分からない。だれも助けてくれなかった」 会の代表に就任してから、マスコミに顔を出す機会が増えた。奥山さん自身、テレビに映ることに抵抗がある。だが、「だれかが本気でこの問題に取り組まねば」との思いがある。 「立ちすくんで殻に閉じこもるか、それとも動いて出ていくか。やってもつらい、やらなくてもつらい」 ■新たな出会い マスコミに露出したことで、身内や友人からさまざまな批判を浴びた。「子どもをさらし者にして、という人もいる。家庭問題を社会問題にすり替えている、という人もいる。兄弟も会ってくれなくなった。精神的には村八分です」 新たな出会いも生まれた。ひきこもりと直接関係がなくても支援してくれる人もいる。「一人が命懸けで動きだせば、炎(ほむら)の燃える人がいるはず。決して悲観していない」 月例会には毎回、100人前後が集まる。会員は全国に広がった。奥山さんはこう呼び掛ける。「みんなで手をつなぎ、一歩、前へ出ましょう」 楽しいひきこもり 連載に対し、県東部に住む母親(38)は「ひきこもりは大変と報道することは、新たな偏見と社会不安を生み出す」と疑問を投げ掛けた。不登校の子どもがいるが、「友だちと遊んだり、買い物をしたり、楽しく生活している。ひきこもりは病的でなく、ひとつの生き方」と言う。 連載第1部はひきこもりの現状と、何が問題をこじらせているか、について明らかにしようとした。「多様な生き方を認める社会になれば、子どもたちは追い詰められない」との意見は大切にしたい。 (県南報道部・新井健治) |
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(2001年1月29日掲載) |
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