子ども虐待 家族間暴力の現場から 第4部 15
〜 2法改正案の行方は 〜
通常国会が開会
今月十九日、第百五十九通常国会が開会した。児童虐待「防止」に加え、「予防」に重点を置いた児童福祉法改正案は既に作成され、来月上旬の閣議決定を待つばかりだ。官と民が三年間かけて練り上げてきた内容が、可能な限り反映されている。それを国会がどう審議するか。
一方、議員提案となる児童虐待防止法の改正案づくりは、今月十九日に決まった二十五人の衆院青少年問題特別委員会メンバーに委ねられた(武山百合子委員長=民主)。埼玉県選出では、小泉隆司議員(自民)、石田勝之議員(民主)が理事となった。
○三年五月二十九日に第百五十六国会青特委(青山二三委員長=当時)が行った審議には民間・政府側計五人が参考人招致されたが、その審議内容などが土台となるかどうかがポイント。
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防止法施行後の三年間で、子ども虐待の解決を目指して黎明期から活動を支えてきた民間人三人がこの世を去った。
子どもの虐待防止センター(CCAP)発足時から理事を務め、児童養護施設で暮らす子どもたちのために生涯をかけて仕事をした長谷川重夫さん(東京育成園園長)=○三年十一月二十一日死去。五千人の市民や一部国会議員が夜の銀座をペンライトを掲げて行進した第一回「子どもの虐待死を悼み、命をたたえる市民集会・パレード」には車いすに乗って参加した(連載第一回写真参照)。
八年前に亡くなったCCAP広岡知彦代表から後を託されていた、CCAP理事・施設長で精神科医の秋山正弘さんは、一年数カ月のがんとの闘いの末、○三年一月十日に死去。全国の民間虐待防止団体のネットワークづくりに奮闘する一方、医師として、虐待する親と虐待を受けて大人になった人たちの治療に心血を注いだ。闘病中も虐待防止の講演を続け、前年十二月十九日に東邦大学医学部で行った講演が最後となった。
子どもの虐待防止ネットワーク・あいち(CAPNA=キャプナ)の初代代表・祖父江文宏さんは、児童虐待防止法が施行された二○○○年に名古屋市で開かれた日本子どもの虐待防止研究会(JaSPCAN)第六回大会の実行委員長を務めた。
祖父江さんは、行政がかかわりながら子どもが死亡した事例の検証を重視した。「よく言われるように、子どもの救出にかかわった個人の資質が原因なのではない。情報を占有することで機関の専門性をつくってきた行政が、その『専門性』ゆえに市民からの情報を抱き込んでしまい、時間とともに推移していく事態の変化に追いついていけない。その間隙で死亡事件が起きている。虐待防止は特定の行政機関、特定の専門家だけが負うのではなく、市民が担うべき問題なのだ」と語ったことがある。この年、人権賞を受賞。○二年六月死去した。
キャプナが全国の新聞記事を検索、虐待死を時系列にまとめた「虐待データブック」は、「見えなかった死」(九八年)、「防げなかった死」(○一年)が出版されている。
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三人の後を継ぎ、より実効性ある虐待予防・防止の社会システムづくりを目指す市民は、全国にいる。その姿に学ぼうとする学生たちもいる。ネットワークはある。私たちも力と知恵を尽くそう。次回からの連載第五部は、開会中の通常国会での児童福祉法・児童虐待防止法改正の審議の行方を追う。
=第4部おわり=
(2004年1月25日掲載)
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