子ども虐待 家族間暴力の現場から 第3部(番外編II) 9
児相は「パンク」寸前・上
土曜開庁に基盤を
土屋義彦知事は今月二十九日の定例会見で、埼玉県独自の「新税」導入を検討する懇話会を七月にもスタートさせると表明した。
一方でこの日、発表しようとして見送られたのが、一週間前に行われた二十二日の定例会見で言及した土曜日の児童相談所開庁のB六月三日スタートCだった。
知事は二十二日、「虐待の急増を受け、都が児童相談所の土曜日開庁を決めたことは、私は高く評価する。必要性を見極めてまいりたい−と県健康福祉部から提示されたが、緊急を要する問題なので、私としては土曜日も開庁する方向でやり方を含めて検討するよう、きょう指示した」(5月23日付埼玉新聞2面掲載・知事会見採録)と発言していた。
最近の石原都知事の言動や施策を意識したものともみられるが、来月八日に迫った県知事選告示前に埼玉県でも始めようとした積極性は理解できる。「知事の発言は正論」との声も現場にはある。だが、問題はそう単純ではない。
B六月三日スタートC表明が見送られたのは、週四十時間に変わった労働基準法の枠を超える「週四十八時間労働」となる土曜開庁をめぐり、労働条件の変更の問題で職員組合との合意が得られていなかったためだ。協議は今も続いている。
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厚生省児童家庭局企画課は来月十五日、「児童虐待に対して児童相談所が適切に対応するために」を議題に全国児童相談所長会議を招集する。
児童虐待防止法の成立を受けて、厚生省は通知済みだった日程・内容を急きょ変更する−と、都道府県、政令指定都市あてに二十四日付で通知した。当日は全国児童福祉主管課長会議と合同で開催し、「新法の成立と今後の課題」について行政説明を行う。
全国児童相談所長会の大久保隆会長(都児童相談センター所長)は今国会での新法制定をめぐる審議で、参考人として三月二十三日午前、衆院青少年問題特別委に立ち、二月に実施した全国百七十四カ所の児童相談所に対するアンケート結果を公表した。
法律・制度の改正について八項目の質問をまとめたものだが、児童相談所の「体制整備」についても調査している。それによると、医師を含む「虐待対応チーム」が必要、職員数の絶対的不足など、児童相談所の体制強化・充実や児童福祉司の配置人数の増加に関して厚生省基準の改正を望む声が強かった。
さらに1家裁に対する児童福祉法第二八条の申し立てなど法的対応に多大な時間が必要で相談業務に支障が出ているなど、弁護士を児童相談所に配置すべき2前年十二月の国会決議で指摘された「二十四時間対応」できる虐待の相談・通報の受付窓口は必要だが、体制の整備なしには不可能−などの問題点が指摘されている。
三月の特別委員会時点では、大久保会長は「六月の全国所長会で法改正への要望を正式にまとめる」と答弁したが、今回新法が成立したことから、「体制整備」に重点を置いて、国への要望を作成する作業が現在進められている。
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東京都はこの四月、全国初の虐待対応特別チームを、都児童相談所の中心施設である都児童相談センター内に三年間の時限設置で発足させた。
職員は八人。課長、係長以外の六人はすべて児童福祉司資格者だ。六人が二チームに別れ、十カ所の地域児童相談所と共同で機動部隊として虐待する保護者から子どもを分離する緊急一時保護や、虐待の有無を調べる立ち入り調査、抵抗する保護者との対応、措置に不服な保護者による行政訴訟の対応にも当たる。いわば「虐待Gメン」だ。大久保会長は国会審議の質問で「今後、地域児童相談所にも広げていく」と答えた。
さらに都は、児童相談所の土曜開庁スタートで、特別チームの八人増とは別に、十カ所の地域児童相談所に各一人ずつ職員を増やした。
この四月、十人の児童福祉司を増員した埼玉県の実情はどうか。都との比較で検証してみる。
(2000年5月31日掲載)
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