子ども虐待 家族間暴力の現場から 第3部 

緊急の再入院
外部との接触を拒否


 暮れ以来ケイちゃん(6つ)は何度も家出を繰り返しては警察に保護され、その度に親に引き取られた。まるで「自分を見つけて」とでもいうように、わざわざ交番のすぐ近くに立っていたこともあったという。

 「何とかならないのか」という学校関係者に、逆に警察が要請した。「このままではどうにもならない。学校として、親に子どもの就学義務の督促というようなことはできないか」

 深夜はいかいしているところを保護したが、ケイちゃんが自宅に帰りたがらない−との連絡を警察から受け、女性の児童福祉司が面接に訪れた。ケイちゃんは児童福祉司を見るなり、「あっ相談所のおばちゃんだっ」と人懐こくくっついてきたという。そして「おうちには帰りたくない」と繰り返し言った。

 どうして−と聞くと、「裸にされてシャワーの水をかけられたり、口からシャワーの水を入れられて、おなかがぱんぱんになったこともある。そのまま裸でベランダに立たせられたり、ぶたれたりするから…」と言った。

 児童福祉司は親と話し合うつもりで別室に待機していたが、母親たちは警察に着くなりケイちゃんを怒鳴りつけた。児童福祉司が待機していることを知った母親は逆上した。やむなく警察が親に注意してケイちゃんを連れ帰らせた。

 翌年二月十六日、下のきょうだいの入学資料を届けるために家庭訪問した小学校の教頭から相談所に連絡が入った。

 自宅で会ったケイちゃんは下半身裸の状態で何もしゃべらずにうつむいているだけだったが、ケイちゃんの頭には直径五センチほどの脱毛痕があったという。

 さらに、自宅付近の住民からは、夕方一時間半ぐらいの間、ケイちゃんが裸でベランダに出され「寒い」と泣きながら何かを書かされていた−との通報が相談所に入った。

 「全部できるまでは家の中に入れないよ」という母親らしい人の声も聞こえたという。住民は一一〇番通報したが、パトカーが到着する前にケイちゃんは部屋に入れられた。

 二月二十六日、小学校から「親の留守中にケイちゃんがけがをして病院で二針縫合した。毎日消毒に通う−との連絡が母親から入った」と相談所に電話が入った。

 関係者に緊張が走った。

 三月四日、児童相談所は小学校、所轄警察署、管轄保健所、市福祉事務所など関係機関を集めてカンファレンスを開いた。情報交換の結果、母親が「毎日通う」といっていた病院も、その後二回通院しただけで中断していることが分かった。

 前年十一月二日の家庭引き取り後、母親と養父は児童相談所、警察、学校などとのかかわりを拒み、却下の審判書でも触れられた精神科医のカウンセリングにも姿を見せなくなっていた。

 さらに、ケイちゃんの下のきょうだいの乳児指導や就学準備のための県保健婦訪問を一切拒否していることも判明。ケイちゃんは一月はわずか五日間、二月以降は一日も登校していなかった。

 三月十一日午前零時二十分、ぐったりしたケイちゃんが母親と養父に連れられて病院にやって来た。母親は「子どもが反応しなくなった」と医師に告げた。

 ケイちゃんには意識障害があり、全身が衰弱していた。脱水症状に加え、頭部には新しい挫傷もあった。  ケイちゃんは緊急入院した。

 (登場人物は仮名。プライバシー保護のためドキュメント部分は一部構成を変えてあります)

 

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 (1999106日掲載)


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