子ども虐待 家族間暴力の現場から 第3部 24
動き出す法改正
悲鳴を葬らないで
今月二十九日に招集される臨時国会は、1=オウム真理教対策立法、2=中小企業向け不況対策−などが柱とされているが、子ども関連で新たな法案が提出される可能性がある。
先の第百四十五回通常国会で衆議院に新設(三月)された青少年問題特別委員会(石田勝之委員長、委員三十五人)は七月二十二日、二十九日の二回の委員会を子どもへの虐待問題にあてた。
同特別委は平湯真人弁護士(東京弁護士会子どもの人権と少年法に関する特別委員会副委員長)、津崎哲郎大阪市中央児童相談所副所長、児童養護施設長の祖父江文宏氏(子どもの虐待防止ネットワーク・あいち代表)−の三参考人と警察庁、法務省など関係省庁の政府委員から意見を聴取した。虐待に関する議員の関心は高く、議員立法を探る動きも続いている。
一方、首相の諮問を受けて約二年間の審議を続けてきた総理府の第十五期青少年問題審議会は七月二十二日、「『戦後』を超えて−青少年の自立と大人社会の責任」を答申した。
同答申は「青少年の問題行動の背景には、権利や自由を放任し、大人が断固とした態度を取ってこなかったことが背景の一つとしてある」との認識を強調した上で「青少年育成基本法(仮称)」の制定を提言した。
これに呼応する動きも国会内に出ており、犯罪被害者対策基本法や刑事訴訟法改正の準備、さらに少年法改正問題とも絡んで水面下で複雑な動きが続いている。
また、国会内には育成基本法ではなく子どもの権利条約の視点を取り入れた「青少年権利基本法」が必要であるという意見や、一九九八年七月一日から施行された韓国の家庭内暴力対策関連二法を参考にするなど、子ども虐待を正面に据えた具体的な防止立法が必要−との考えも出ている。
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こうした動きとは別に九六年九月、民間団体「子どもの虐待防止センター(CAP)」協力者の立場から駿河台大学の吉田恒雄教授(民法)は虐待に対して実効性ある法制度を構築するための「児童虐待に関する児童福祉法制度改革の提言」を行った。提言趣旨はこう述べている。
「虐待事件の増加は、家族をめぐる諸条件の変化にのみ、その原因を求めることはできない。従来から『しつけ』『教育』『慣習』として行われてきたことが、実は虐待であったとの認識の変化によるところが大きい。現行法制度は『家庭の私事』『家庭の平和』の名の下に法が家庭に介入することに慎重であり、子どもの利益は親によって守られるとの前提の下に親子間の深刻な利害対立には、さほど関心を払ってこなかった。そのため、親による人権侵害の最たるものである虐待についても、親子の権利の対立構造としてとらえることができないのが実情である」
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トイレがうまくできないとの理由でせっかんを受け、十二指腸断裂による「はん腹膜炎」で死亡したミノルちゃん(2つ)=連載第一部。冬の戸外に裸で出され、体に雪をかけられて写真撮影された上、外傷性ショック死した優ちゃん(6つ)=同二部。意識障害を伴う栄養失調で病院に緊急入院し、間一髪のところで最悪の事態を免れたケイちゃん(6つ)=同三部。
ケイちゃんは今、元気に暮らしている。だが、この瞬間にも「家庭」という密室状態の中で、たった一人悲鳴を上げ、危険な状態に置かれている子どもたちはいる。
これ以上死なせてはならない。大人が立ち止まっているわけにはいかない。知恵を尽くし、今必要なことを全力でやり遂げない限り、子どもは救えない。
=子どもの名前は仮名です
第三部おわり
■虐待についての電話相談ホットライン 育児に不安や心配がある、イライラして子どもにあたってしまう、自分の子をかわいいと思えない、身近に虐待を受けている子どもがいることを知った第三者−などの相談に、研修を受けた専門相談員が匿名でも応じてくれる。
▽「埼玉県中央児童相談所」子どもと家庭・よいこに電話相談(電話048・775・4152、十二月二十九日から一月三日を除く毎日午前九時から午後九時)
▽「埼玉子どもを虐待から守る会」電話相談(電話048・835・2699、火・水曜日午前十時から午後四時)
▽東京「子どもの虐待防止センター(CAP)」子どもの虐待一一〇番(電話03・5374・2990、月−金曜日午前十時から午後五時、土曜日午前十時から午後一時)
▽東京「子ども虐待を考える会」TWほっとライン(電話03・3776・9961、木曜日午後一時から同五時)
(1999年10月28日掲載)
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