子ども虐待 家族間暴力の現場から 第2部 11
削られた予算
子どもの悲鳴届くか
行財政改革の流れを受けて、都道府県で人員削減など組織の縮小化を図る動きが続いている。
九九年度予算編成で県は、職員定数削減計画の削減枠を二百五十人から三百五十人に拡大した。県内の児童福祉司数六十五人(九八年度内訳=男性二十七人、女性三十八人)は現状維持されたが、二カ所の児童相談所への配置が要望されていた「新規セラピスト」は非常勤でさえ認められなかった。「今後、児童相談所にも定数削減が波及してくるかもしれない」との声が現場からは聞こえる。
昨年度、定数削減のあおりで公用車の運転手が一人減り、代わりに出張の際にタクシー用チケット使用を、やむを得ない場合に限って認めるとしたある児童相談所は「施設訪問の帰りなど、子どもや家族にかかわる内容の話はタクシー運転手のいる車内ではできない」と話す。
九九年度の県児童養護関係予算は前年比約一〇%のマイナスとなった。
児童相談所絡みでは、1=非常勤の電話相談員賃金のカット、2=条例改正による旅費規程変更、3=消耗品購入・コピーなど「需要費」の節約、4=各種の外部研修に参加する場合の会費などの公費負担金が厳しく査定され減った−などが大きい。研修には各所で出席する必要はなく、代表が出席して還元すればよい、との意向が財政当局に強かったといわれる。
「減らされるのを防ぐので精いっぱいだった」との声もある。
福祉専門職として採用され、児童福祉司経験が豊富なベテラン職員が他機関に異動し、培ってきた専門性が生かされないなどの課題は残ったままだ。
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子ども虐待への介入・援助の仕事は相当の困難を伴い、高度な専門性が要求され、ストレスも想像以上とされる。
米国サンフランシスコの虐待防止専門機関(CPS)で働いた経験を持つ西澤哲日本社会事業大学助教授によると、当時三年間で二十数人のソーシャルワーカー全員が辞めるか別部門に異動したこともあるという。
「そうした実態も含め、社会への
発信を児童福祉司たちがする必要がある。専門用語が多いことも手伝って、理解されない面が多い。彼らは社会が見たくない部分を扱う仕事をしているだけに『本来あってはならない必要悪的な仕事をしている』といった受け止め方が行政の中には多い」と訴えている。
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親たちに殺されていく子どもたちの悲鳴を、外部の人間が直接聞くことは、まずない。だが、親子分離され施設に入所している子どもたちや、愛情や保護のない安心できない扱いを受けて、魂を殺されかけている子どもたちの声を聞くことはできる。
現場の児童福祉司たちは、その代弁者ではないか。だとすれば、そうした職員たちの声が届かない所で行政が動くなら、それは「子どもたちの悲鳴が届かない行政」ということになる。
日本では、虐待の早期予防のための親への援助の手法やシステムは確立されていない。こうしている間にも、子どもたちが犠牲になっている。
=第2部おわり=
(1999年4月3日掲載)
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