さいたま市の児童福祉司配置 政令市ワースト3

 掲載した九つの比較表は、厚労省基本方針を具体化した二○○四年度事業や施策の重点指標について、さいたま市など全国十三政令指定都市の実施状況を示した(比較には埼玉県の状況と、中核市の川越市を一部加えた)。
 厚労省は児童福祉司の増員について「重大な関心を持って」(雇用均等・児童家庭局総務課)チェックしている。○四年度地方交付税積算基礎における児童福祉司一人当たりの管轄人口(国基準)は六万八千人。
 しかし、実際にはことし五月一日現在で、四十七都道府県・十三政令指定都市のうち三十七自治体が基準を満たしていない。児童相談所設置が義務付けられている自治体の61%が国基準にすら達していない事態を同省は「極めて遺憾」(同課)としている。
 土屋義彦前知事時代から、ここ数年、毎年児童福祉司を増員してきた県は国基準の八十七人を十四人上回る百一人を配置(対前年度比四人増)し、一人当たり管轄人口は五万八千五百五十四人となっている。
 これに比べ、政令市・さいたま市は、○三年度に比べて二人を増員したものの、依然、国基準を三人下回る十二人(同二人増)にとどまる。国基準との「差」がマイナス六人の千葉市、マイナス五人の札幌市に次ぐマイナス三人は北九州市と並び「政令市ワースト3」となっている。
 さいたま市の児童福祉司一人当たりの管轄人口は八万五千三百三十八人に及んでおり、六カ所ある県児童相談所に比べ、約一・五倍の人口をカバーすることになり手薄さが目立つ。
 法律上は同じ権限を持ちながら、県の六児童相談所管内と、政令市のさいたま市児童相談所管内では児童養護サービスに「格差」があるともいえる実態で、一刻も早い是正が求められている。
 児童養護施設では、虐待を受けた経験のある子どもの入所が施設全体の半数を占めている(県平均は54%=○四年二月一日現在、県調べ)。児童養護施設に入所する子どもの多くは、親の離婚、家庭不和、入院、親からの虐待など家族関係に問題を抱えている。このため国は、満十八歳となり施設を退所する子ども本人、保護者、担当児童相談所、施設が連携して家族全体の今後の方向などを話し合う家族調整を専門とする家庭支援専門員(ファミリーソーシャルワーカー)をすべての児童養護施設に加算する事業(国が人件費の二分の一を補助)を○四年度に新規事業として打ち出した。
 県は県内十四施設に家庭支援専門員配置を予算措置する方針だが、さいたま市は「予定なし」。
 また、ドメスティック・バイオレンスなどから避難した母親と子どもが暮らす母子生活支援施設への被虐待児個別対応職員についても、県は二カ所に加算する予定だが、さいたま市は「予定なし」としている。

厚労省は5基本方針

 厚生労働省は児童福祉法改正案と併せ、同法案が可決・成立することを視野に今後の児童虐待防止対策として五つの基本方針を示している。
 これまでの対策が「虐待の早期発見・迅速対応」に重点が置かれ、未然防止や虐待を受けて保護された子どものアフターケアや、虐待を加えた親・保護者への支援・治療が不十分―との指摘を、社会保障審議会児童部会報告(○三年十一月)で受けて具体化した。
 基本方針の柱は(1)虐待の予防、早期発見と迅速対応、虐待された子の心理的治療やケア、虐待した保護者への支援と治療、虐待され十八歳を超えた子どもの自立支援―を切れ目なく行う(2)分離された親と子の「家族再統合と養育力の再生」(3)子どもに関する相談の「一義的窓口」化や要保護児童対策協議会(市町村虐待防止ネットワーク)など市町村の役割の拡大・強化(4)従来型の「待ちの姿勢」でなく「養育力が不足し支援を必要とする家庭への積極的な介入型アプローチ」への転換(5)保育所、幼稚園、学校を含めた連携強化(6)母子保健、医療分野での取り組み強化(7)施設などで暮らす被虐待児のケア態勢の小規模化と生活・自立支援の強化―となっている。

(小宮純一)


児童福祉司の現員と交付税積算基礎人員との比較
専門里親・親族里親調査
地域小規模児童養護施設及び小規模グループケアの予算措置状況
被虐待児受入加算の予算措置状況
補助事業(新規及び拡充)の予算措置状況
平成16年度 被虐待児個別対応職員の予算措置状況
平成16年度 家庭支援専門相談員の予算措置状況
育児等健康支援事業実施状況
母子生活支援施設における被虐待児個別対応職員等の予算措置状況
  ※2004年3月1日の全国児童福祉主管課長会議、6月29、30日の全国児童相談所長会議で示された厚生労働省集計から作成した。7月以降の自治体施策の変化・変更は反映していない。


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