半数が心理判定されず
保護者と切り離された虐待の子
児相に批判の声
県内児童相談所の児童福祉司、児童心理司、常勤医師配置状況
埼玉県
さいたま市
人口(06年1月1日現在)
5,940,388人
 
1,187,225人
 
児童福祉司配置人数(06年4月1日現在)
106人
 
20人
 
児童福祉司1人当たりの管轄人口
56,042人
 
59,362人
 
対前年増減数
+7人
 
+5人
 
児童心理司配置人数(06年4月1日現在)
29人
a
71人
7人
a
14人
対前年増減数
+3人
 
0人
 
常勤医師配置人数(06年4月1日現在)
0人
 
0人
 
※aは児童心理司:児童福祉司=2:3を目安とした場合に必要な児童心理司数

 保護者からの虐待などで一時保護した子どもについて、県内の児童相談所が保護者と切り離す措置を決め、里親や児童養護施設に養育を委託する際に、措置児の半数は虐待で受けた心理的ダメージや発達への影響などを見極める心理判定作業ができないまま預けていることが二十日、分かった。児童福祉司数の三割にも満たない深刻な児童心理司不足が原因だ。「児童相談所は被虐待児を施設に“丸投げ”している」との批判を裏付けるともいえそうだ。

 虐待で一時保護した子どもを保護者と切り離し、施設や里親の元で社会的に養育するのは、児童相談所が職権で行う行政処分。親権行使を中断させるため、虐待を受けた子の心身の発達程度や家族関係について専門的な心理判定を行い、その情報を養育委託先に児童相談所が提供する。

 児童養護施設や里親側には、提供される情報を基に、子どもの処遇や養育プログラム(自立支援計画)作成が義務付けられている。

 ところが、二〇〇二年度に県内児童相談所が乳児院、里親、児童養護施設に子どもを措置した五百十九件のうち、措置時点で心理判定を行っていたのは全県平均で49・9%(二百五十九件)にすぎない。実施率が最低なのは熊谷児童相談所で30・9%。最高でも所沢児童相談所の61・3%にとどまっている。

 通常は措置時点での心理判定実施率は集計していない。しかし、同年度は深刻化する児童虐待に対応するため、安全確認や一時保護などを担当する児童福祉司と、心理判定を受け持つ児童心理司の合同チームを編成したいと、審理司増員のために特別に調査した。

 現在、六カ所ある県児童相談所には児童福祉司が百六人配置されているが、児童心理司はわずか二十九人で福祉司の三割にも満たない。さいたま市児童相談所も福祉司二十人に対して心理司は七人と圧倒的に不足している。

 児童福祉司は政令で配置基準が定められているが、児童心理司は配置基準が明示されてこなかった。

 厚生労働省は今年四月、専門研究会の報告書を公表し、今後、心理司には従来の判定業務に加え〔1〕一時保護中の子どもの心理療法〔2〕施設入所後のケア評価〔3〕分離後の保護者指導やカウンセリングが求められるとして、福祉司と心理司のチーム編成を要求。「少なくとも心理司対福祉司=二対三以上」を目安に配置すべきとした。近く児童相談所運営指針(局長通知)にも明記する方針。

 新基準では、県児童相談所には最低七十一人の心理司配置が必要となる。県こども安全課は「これまでは虐待通告への迅速対応など初期介入重視で福祉司を先行配置してきたが深刻な数字だ。現況を精査し、必要な税財源を国に求めていきたい」と話している。

2006.07.22 本紙掲載

 
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