優秀作品紹介

特選・埼玉県知事賞

「新緑の抱擁」 撮影地:秩父市

撮影者:宮前進一さん(横瀬町)

 一見すると緑の木々を単に、逆さに見ているかのようにみえるが、じっと見ていると、徐々に鏡のような水面に新緑の萌えるような広葉樹と空が映り込んでいることが分かる。渓流がせき止められた大きな池のような水鏡の映像である。波風が立たない早朝のごく限られたシャッターチャンスをものにしている。この情景をダイナミックに画面全体に写し込み、添景にテントを取り入れたことでスケール感がより強調された。見る者に極上の爽やかな安らぎを与える作品である。

準特選・埼玉県緑化推進委員会賞

「新緑に包まれて開山式」 撮影地:秩父市

撮影者:野口正士さん(長瀞町)

 毎年6月の第1日曜に霧藻ガ峰で行われる奥秩父の山開き式での一コマ。登山愛好家や警察、消防などの関係者ら集い、登山の安全を祈願する行事である。その際に、清めのための紙片「切幣(きりぬさ)」を投げ、山の安全を祈っているところである。新緑を背景に、木もれ日に輝く切幣と参加者等の明るい表情をうまく捉えている。

準特選・埼玉新聞社賞

「山峡の秋」 撮影地:小鹿野町

撮影者:萩田芳治さん(秩父市)

 急峻な山裾が幾重にも重なり、その合間に集落が見え隠れする。まさに「山峡」という言葉にふさわしい山村の秋景色である。逆光で撮影したことにより、全体のトーンが暗めになり、どっしりとした色調になった。また、谷間の霧と山の端に見え隠れする紅葉した木々が画面全体にメリハリをつけ、見る者の目を惹きつける。

優秀賞・ダイドードリンコ賞

「癒しの空間」 撮影地:飯能市

撮影者:浅見彰夫さん(飯能市)

 「登山道途中に、苔むす石塊と新緑に心が癒やされました」とは、撮影者のコメントである。近年、群馬県中之条町や長野県佐久穂町の苔が有名になっているが、わが埼玉県にもこれほどの苔の美しい場所があるとは。苔の中に生える広葉樹を添景に、自然の織りなす緑の情景を見事にまとめ上げた。タイトル通りの「癒やしの空間」である。

優秀賞・埼玉りそな銀行賞

「視線」 撮影地:日高市

撮影者:庄司博さん(日高市)

 ばらつきのある材から推測するに間伐材であろうか、林道脇の原木をクレーンでトラックに積み込む作業を収めたカットである。トラックとクレーンと人の位置をうまく構成したうえで、作業員がクレーンの動きを鋭い視線で追っているその瞬間を見事に捉えた。作業員の身のこなしが緊張感として伝わってくる。

優秀賞・埼玉県治山林道協会賞

「里山の春」 撮影地:東秩父村

撮影者:佐藤常利さん(皆野町)

 集落を埋め尽くすように咲き誇るハナモモ、サクラ、ウメ、レンギョウなど、文字通りの「春爛漫」を迎えた山里の春景色である。鮮やかな色の取り合わせが画面を盛り上げている。こうした春景色を背景に、展望台に向かう階段を取り入れ、そこを歩む人物を添景にすることで華やかさとスケール感を強調することができた。

優秀賞・日本製紙賞

「高原牧場芽吹きの頃」 撮影地:東秩父村

撮影者:村上勇さん(深谷市)

 濃緑色、萌葱色、萌黄色、オレンジ色、赤褐色などさまざまな彩りに包まれるはるもみじ春紅葉の山々と、いかにも牧場のたたずまいを感じさせる牧舎と草地。この時期、樹種によってさまざまな色によって彩られることが見て取れる。半逆光での撮影なので木々の葉の色がより映えて見える。その春紅葉を見事に活写した一コマである。北国の春紅葉も美しいが、わが郷土、埼玉県にこれほどの美しい春紅葉が見られるとは思いのほかである。

審査総評

 今年で27回目を迎えた埼玉森林フォトコンテストは、応募点数423点と昨年の応募点数393点を上回った。今年の傾向だが、多くの審査員から「昨年に増してカラフルで素晴らしい内容の作品が多い」という感想が語られた。前回と同様に、「全体的にカラフルでメリハリのついた作品が多く寄せられるようになっている」という印象を、今年も強く感じた。

 さて、本年も美しい里山風景や身近な公園の緑などを活写した作品が多数投稿されたが、一般的には撮影しづらい森林作業の現場に足繁く通い、撮影を続けて今回で3回連続の上位入賞を果たされた庄司博さん(埼玉りそな銀行賞)の努力には、敬意を表したい。陽の当たりにくい作業現場のスナップ写真を広く紹介していただけるのは、主催者側としても願ってもない機会であり、今後も追い続けていただければ有り難い次第である。

 また、ここ数年の傾向だが、複数点応募される方の作品が最終選考で重複して残る例が多く、作品として申し分ないのだが一人一点という制約上、割愛せざるを得ない例が複数例あり、審査員泣かせの選考場面があった。評価の高かった複数点が選外になっていることもお知らせしておきたい。