優秀作品紹介

特選・埼玉県知事賞

「山頂の祭典」 撮影地:皆野町 美の山
撮影者:長谷川孝さん(熊谷市)

 皆野町にある椋神社奥社蓑山神社では、毎年5月3日の朝に八十八夜祭が行われる。昼になると、御神体をのせた御神幸行列が御旅所のある美の山・山頂広場へと向かう。行列は、遊歩道を笛や太鼓のお囃子とともに厳かに歩を進める。この写真は途中にある展望台から撮影したもので、俯瞰して撮影したことにより、行列やそれを見守る氏子、見物客らの様子がより立体的に描写された。画面左上から右下へと移動する行列に動きも感じられ、折から満開となった色とりどりのツツジや新緑の木々の緑が祭りに彩りを添えている。春の始まりを感じさせる秀作である。

準特選・埼玉県緑化推進委員会賞

「山霧叢林」 撮影地:秩父市
撮影者:井深眞一さん(皆野町)

 霧がかかったスギ林を下から仰ぐように撮影している。比較的よく見られる写真内容だが、よく見ると木々の間隔や霧のかかり具合、写真上方にある樹冠(枝葉)の取り込み方など、うまく計算した上で撮影されていることが分かる。比較的手入れが行き届いた人工林の美しさが墨絵のように上手に表現されている。

準特選・埼玉新聞社賞

「守木に舞う」 撮影地:飯能市
撮影者:浅見彰夫さん(飯能市)

 飯能市にある諏訪神社で行われた獅子舞の様子である。この写真の場面は棹懸り(さおがかり)と呼ばれ、獅子が川に見立てた竹竿にからむという内容で、獅子が鬱蒼としたスギ木立を背景に大きく飛び跳ねた瞬間を撮ったものである。神社の叢林、観客、赤い服の稚児さん、ダイナミックな獅子の動き、そしてその様子を眼光鋭く見つめる人の表情などが渾然一体となって迫ってくる。
(注)タイトルの「守木」は撮影者の造語

優秀賞・ダイドードリンコ賞

「山河の恵み」 撮影地:長瀞町
撮影者:長谷川純子さん(熊谷市)

 石畳を縫うように流れ下る渓流にラフティングボートが進む。前方には急流が待ち構えていて、まさにラフティングに臨む直前の様子が見て取れる。初夏の抜けるような青空と目にしみるような森の緑、そして砕け散る白波の流れ、黄色のラティングボートの取り合わせが作品を見る目に鮮やかに飛び込んでくる。川の流れやボートの位置など計算し尽くされた素晴らしい作品だ。

優秀賞・埼玉りそな銀行賞

「技」 撮影地:日高市
撮影者:庄司博さん(日高市)

 「林道脇に積まれた原木をオペレーターが、巧みなレバー操作でトラックに積み込んでいて、その様子を通りがかったハイカーが魅入っています」とは、撮影者の言葉である。スギ木立を効果的に配し、オペレーターとその作業の様子がひと目で分かる瞬間を捕らえている。また、その作業を遠目で魅入っているハイカーの存在も添景として生きている。作業現場の写真として申し分のない作品である。

優秀賞・埼玉県治山林道協会賞

「森の仕事人」 撮影地:飯能市
撮影者:冨澤武男さん(飯能市)

 空師とは狭い敷地内にある大木の伐採を専門にしている伐採職人のことである。その空師が宙づりとなってケヤキの大木を、チェーンソーを操りながら切断している。その迫力ある様子をアップ気味に見事に捕らえている。周囲に飛び散るのこくずが伐採作業を効果的に演出している。タイトルにふさわしい内容である。

優秀賞・日本製紙賞

「春の光の中で」 撮影地:東秩父村
撮影者:島田英夫さん(滑川町)

 春(はる)紅葉(もみじ)とサクラの織りなす背景の下、新緑の牧場が広がる。早春の夕方の斜め光線が、長く黒い影を描いている。草を食む白い羊たちの群れを添景に取り入れ、うまいタイミングでシャッターを切っている。何気ない春の里山風景だが、新緑の牧草、羊、春紅葉、長い影、斜め光線、それぞれの素材が絶妙な取り合わせで構成されている。モノクロの世界では表現できないカラー写真ならでの作品である。

審査総評

 今年で25回目を迎えた埼玉森林フォトコンテストは、応募点数442点と、昨年を75点上回る盛況ぶりであった。

 5,6年程前から感じていることだが、寄せられた作品の大部分は、ピント、露出、色味など基本的な要件をほぼ満たしている。デジカメの性能がアップしているという要因もさることながら、撮影者がデジカメを使いこなしているとも言えよう。ただし、入選作品の中には、画像加工ソフトを使ってメリハリを効かせたり、シャドウ部分を明るくするなどいった画像データのコントロールにより上位入賞出来そうな作品がいくつか見受けられた。今後の課題として、パソコンが苦手と言われる方もいらっしゃるかもしれないが、デジタル写真加工テクニックの習得に挑戦してみてはいかがだろうか、さらに作品のレベルアップが期待できると思われる。

 さて、本年の応募作品の内容傾向として、美しい本県の里山風景や身近な公園の緑などを描写した作品が多く寄せられた。しかもそこには、人々がそれらを守り育てたり、利用したりするなどの様子がさりげなく映し出されている。投稿してくださる方々の常日頃からの森林(みどり)に対する「問題意識」と「写し撮ろう」という想いがあるからに相違ない。